マラソンは「ペース配分」で結果が決まるといっても過言ではありません。
同じ距離を走る場合でもスタート直後のスピードや後半の粘り方でタイムや完走率が大きく変わります。
この記事では5km・10km・ハーフマラソン・フルマラソン・ウルトラマラソン(100km)別にそれぞれの距離に合ったペース戦略をわかりやすく解説します。
5kmマラソン:スピード重視の「前半勝負型」
この距離ではある程度ランニングを続けていけば十分ゴールできる距離で、走り慣れている人ではスピードを意識したレースになると思います。
前半で抑えすぎてしまうと力を出し切れずにゴールしてしまうので、トップを狙わないのであればスタートで前の人につられてペースを上げ過ぎず、それでも序盤の1~2kmを越えた段階で積極的にペースを上げていきましょう。
後の解説での長い距離のレースにも言えることですが、スタートの1~2kmは周りのペースに巻き込まれて速くなりすぎないことが大切です。
特徴
- 距離が短く、スピード持久力が求められる。
- 呼吸が苦しくても維持できるギリギリのペースが理想。
ペース配分
- 1〜2km: 体を温めながら目標ペースへ
- 3〜4km: リズムを崩さずペースをキープ
- ラスト1km: 全力スパート。フォームを崩さず押し切る
👉目標ペースの目安:
「全力で3km走れるペース+10〜15秒/km程度」で設定
10kmマラソン:冷静に入って後半勝負
5kmより長くハーフマラソンより短い距離ですが、スタートに加えて前半はペースを抑えることが大切です。
前半のちょっと物足りないペースから後半に上げていき、終盤にスパートを掛けましょう。
特徴
- 5kmよりも「我慢とリズム」が重要。
- 序盤のオーバーペースが命取りに。
ペース配分
- 1〜3km: 呼吸を整えながら抑え気味に
- 4〜7km: リズムに乗り、ややペースアップ
- 8〜10km: スパート準備から全力走
👉目標ペースの目安:
「ハーフマラソンのペース −10秒/km」が理想
ハーフマラソン(21.0975km):リズムを守る中距離型
スピードだけでなくスタミナも大切になっていく距離です。個人的にですがこの距離を走り切れるようになるとマラソンに対してハマってくると思います。
景色を楽しめるコースも多いと思いますので中盤まではリズムよく走っていき、終盤のゴール会場が近づいてきたらペースを上げてゴールに向かいましょう。
ちなみに紹介する距離の中で私が一番好きな距離です笑
特徴
- スタミナとメンタルの両立がカギ。
- 抑えて入って“中盤を淡々と刻む”のが好走の秘訣。
ペース配分
- 1〜5km: ウォームアップ感覚でやや余裕を持って。
- 6〜15km: 目標ペースを一定にキープ。呼吸のリズムを整える。
- 16〜21km: 少しずつギアを上げてフィニッシュへ。
👉目標ペースの目安:
「フルマラソンのペース −15〜20秒/km」
フルマラソン(42.195km):前半の“我慢”が勝敗を分ける
距離はハーフマラソンの倍ですが、難易度は倍以上の難しさになると思います。ランニングを初めて最初のレースでフルマラソンを選ぶことはお勧めできません。
前半を軽く走って楽に感じていても25km過ぎにはスタミナが切れて30km過ぎには歩きっぱなしという例が多いので、フルマラソンはレースまでの練習が大切になります。
それでも35kmを過ぎるまで走ることが出来ればゴールまでは気持ちでいけると思います!
特徴
- 前半で力を使いすぎると後半で失速。
- 30km以降の「壁」を越えるためにエネルギー管理が必須。
ペース配分
- 1〜5km: 抑えてスタート(目標ペース+15秒/km)
- 6〜25km: 安定ペースでリズムを維持。給水を忘れずに
- 26〜35km: ややきつく感じても我慢の時間帯
- 36〜ゴール: 残った力でペース維持または微増
👉理想の展開:「ネガティブスプリット(後半を前半より速く)」
ウルトラマラソン(100km):完走重視の“ロング旅ラン型”
フルマラソンよりも長い距離のレースがウルトラマラソンになります。この距離になるととにかくスピードよりもスタミナと精神力が重要になります。
とにかく遅いペースでも、途中でレースを打ち切られる関門を越えるように進み続ければいいと思います。
終盤には周りの人と協力してゴールを目指す感覚になり、戦友が生まれるようになります(ちょっちと大袈裟ですが笑)
フルマラソン以上の距離を練習で走っておくことをお勧めします。
特徴
- フルの倍以上、ペースよりも「補給」「メンタル」「筋持久力」が最重要。
- スタートの速さは不要。最初の10kmを“遅いくらい”でちょうどいい。
ペース配分
- 1〜20km: ウォーキング混じりでもOK。体を温める
- 21〜60km: 一定ペースを淡々と維持。給水・栄養補給を忘れずに
- 61〜80km: ペースダウンしても焦らない。歩きと走りを組み合わせ
- 81〜100km: ゴールを意識し、気持ちで前へ
👉目標ペースの目安:
「フルマラソンのペース+1分/km〜1分30秒/km」
💡距離別ペース配分まとめ表
距離 | 前半ペース | 後半ペース | ポイント |
---|---|---|---|
5km | やや速め | 全力スパート | スピード持久力 |
10km | 抑え気味 | やや上げる | リズム重視 |
ハーフ | 均一 | やや上げる | 安定ペース |
フル | 抑えめ | 維持〜微増 | ネガティブスプリット |
100km | 超抑えめ | 完走重視 | 補給とメンタル管理 |
🗣️よくあるQ&A
Q1:ペースを決めるときに使う基準は?
A:普段の練習タイム(10kmやハーフの平均ペース)を基準にして、距離が倍になるごとに1kmあたり10〜20秒ずつ遅く設定するとバランスが取りやすいです。
Q2:後半に失速してしまうのはなぜ?
A:序盤でのオーバーペースとエネルギー補給不足が主な原因です。給水と補給を計画的に行いましょう。
Q3:ネガティブスプリットは誰でも狙える?
A:初心者でも意識する価値があります。前半を抑える勇気が「後半の伸び」につながります。
🏁まとめ
マラソンは「速さ」ではなく「ペース管理における知恵と戦略の競技」です。
どの距離でも「最初から飛ばしすぎず、後半でリズムを維持する」ことが成功の鍵になります。
練習の段階からレースペースを意識して走ることで、当日も安定した走りができるでしょう。
みなさんの健闘を祈ります。
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