マラソンの練習メニューの中でも最も地味だけど効果が大きいのが「LSD(Long Slow Distance)」です。
長時間ゆっくり走るだけのシンプルなトレーニングですが、実はフルマラソンを走るうえでのサブ4〜サブ3を達成するためやウルトラマラソンの完走など幅広く必要な“走る土台”を作ります。
この記事ではLSDの正しいやり方、必要性、やりがちな失敗、実施頻度まで詳しく紹介します。
✔ LSDとは?超ゆっくり長く走る基礎づくりトレーニング
LSDとは「Long Slow Distance」の略で、“ゆっくり長く”走る練習を指します。
🔹 LSDの主な目的
- 脂肪をエネルギーとして使える体を作る
- 心肺・血管の発達(有酸素能力アップ)
- 長い時間動き続ける筋持久力の向上
- フォームの安定化・ランニング効率の改善
- ケガをしにくい身体づくり
特にマラソンでは「30km以降に落ちない脚づくり」の土台として必須になります。
✔ LSDのやり方(初心者〜上級者まで使える基本)
① ペース:会話が余裕で出来るほど“かなりゆっくり”
- マラソンのEペース(普段のゆっくり走)よりさらに遅い
- キロ7:00〜8:00でもOK
- 心拍はゾーン2(最大心拍の60〜70%)が目安
→ ペースを上げないことが最大のポイントになります。
② 時間:90分〜150分を目安にする
距離よりも「時間」で管理するのがLSDの基本です。
| レベル | 推奨時間 |
|---|---|
| 初心者 | 60〜90分 |
| 中級者(サブ4〜サブ3.5) | 90〜120分 |
| 上級者(サブ3〜ウルトラ) | 120〜180分 |
※フルマラソン向けなら 月2〜4回 がちょうどよい頻度。
③ コース:信号の少ない場所・周回コースがおすすめ
- 信号が多いとリズムが崩れてしまう
- 河川敷や公園の周回コースが最適
- 初心者は「行って戻る」より周回の方が安全
④ 補給:長時間走る日は必須
- 90分を超えるランニングの場合は途中で補給する スポーツドリンク・ジェル の用意をしてください
- 夏は塩分補給も忘れずに
⑤ 姿勢:フォーム改善のチャンス
LSDはゆっくりのためフォームを意識しやすい時間です
「脱力・重心の安定」を確認すると効果が倍増します
✔ LSDがマラソンに必要な理由(効果の科学)
① 脂肪代謝が向上し“30kmの壁”を突破しやすくなる
ゆっくり長く走ることで、脂肪を燃やして走る能力を強化出来ます
そのためマラソン後半でのガス欠予防になります
② 毛細血管が増え、持久力が底上げされる
LSDは長い時間低強度で刺激が入るため
- 筋肉への血流改善
- 毛細血管の発達
- 酸素供給能力UP
など“走り続ける力”が高まります。
③ 心肺が強くなり、他の練習が楽になる
スピード練習やテンポ走の土台が出来るため、レベルアップのスピードが上がります。
④ 疲れが残りにくいので継続しやすい
高強度の練習と比べて筋ダメージが少ないため、週1でも取り入れやすいです。
✔ LSDの注意点(ここを間違えると効果激減)
❌ ペースが速くなる
最も多い失敗、「ペースが遅すぎるかな?」くらいがちょうどいいです。
❌ 距離にこだわりすぎる
LSDは距離より 時間管理 が基本になります、信号待ちが多いコースも避けてください。
❌ 毎週やりすぎる
LSDばかりだとスピードが落ちるため、週1回や月2〜4回が最適です。
❌ 補給を軽視する
120分を超える場合の補給不足は、逆にパフォーマンス低下の原因になります。
✔ LSDはこんなランナーに特に効果的
- 30km以降に失速する人
- 練習を積むと疲労が溜まりやすい人
- フォームが安定しない人
- マラソンでペースを一定に保てない人
- サブ4・サブ3.5に伸び悩んでいる人
- ウルトラを目指すランナー
初心者〜上級者までメリットが大きい万能メニュー。
Q&A:LSDに関するよくある質問
Q1. LSDはどれくらいの頻度でやればいい?
A. フルマラソンなら 週1回か、月2〜4回 が理想です。
Q2. LSDはキロ何分で走るべき?
A. 普段のジョグより遅く、会話をしていても余裕のあるペース(キロ7〜8でもOK) です。
Q3. LSDだけでフルマラソンは完走できますか?
A. 完走レベルなら可能ですが、記録を狙う場合はスピード練習も必須になります。
Q4. 夏でもLSDは必要?
A. 必要ですが、暑熱順化や補給が重要で、時間は短めに調整するとよいです。
Q5. ゆっくりすぎるとフォームが崩れませんか?
A. 走りながら姿勢を意識すれば問題ないです。
特に“重心の位置”を確認する時間にすると効果が高くなります。
まとめ:LSDは「マラソンの基礎体力づくり」に不可欠な練習
LSDは一見地味ですが、
「30km以降に落ちない力」「持久力」「脂肪代謝」 を育てるための最重要トレーニングです。
- ゆっくり
- 長く
- ペースを上げない
- 時間で管理する
この4つさえ守れば、誰でも大きな効果を得られます。
マラソンのシーズンに向けて楽しくゴールするために、ぜひ定期的に取り入れてみてください。

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