マラソン大会の「位置取り」完全ガイド|スタートから終盤まで場面別に徹底解説

マラソン大会のスタート地点で大勢のランナーが走り出している様子 マラソン

マラソン大会に出て「周りの人に流されてペースが乱れた」「坂道で詰まってしまった」「後半に抜くのが大変だった」という経験はありませんか?

実は、マラソンを気持ちよく走るためには体力やペース配分と同じくらい位置取り(ポジショニング)が大切です。どこを走るか、どのタイミングで動くかによって消耗度やタイムが大きく変わることがあります。

この記事ではスタートの混雑から中盤・終盤、さらには地形の違いや集団の有無まで、さまざまな場面での位置取りのポイントを初心者でもわかりやすく解説します。


① スタート直後の混雑エリア|焦らず「自分のゾーン」を守る

なぜスタート直後は混雑するのか

マラソン大会のスタートは、何百人・何千人ものランナーが一斉に走り出す場面です。大きな大会ほど密度が高く、最初の1〜2kmは走りたいように走れないことも珍しくありません。

位置取りのポイント

スタートブロックは正直に申告したゾーンに並ぶのが基本です。自分の実力より前のブロックに入ると、スタート直後に速い人から邪魔者扱いされてしまいます。
逆に後ろすぎると、序盤のタイムロスが大きくなります。自分の目標タイムに合ったゾーンに並びましょう。

スタートの号砲が鳴っても、最初の数百メートルは周りの流れに合わせて走ることが大切です。ここで無理に前に出ようとすると、他のランナーと接触して転倒するリスクがあるうえに序盤のオーバーペースにもつながります。

特に初心者が注意したいのが、周りのペースが自分より明らかに速い状況です。前のランナーに引っ張られて無意識にペースアップしてしまうと、心拍数が想定以上に上がり後半の大失速につながることがあります。
「速い流れを感じたら意識的にペースを抑える」という判断が、完走への大きな分かれ目になります。

混雑しているときの位置については、初心者はコースの真ん中あたりを走るのが基本です。端に寄りすぎると、コーナーの内側で詰まったり外側で大回りになったりするためです。

一方、中級者以上はあえてコースの端(外側)を選ぶ走り方もあります。端は混雑が少なく自分のペースをコントロールしやすいというメリットがある反面、コーナーで外回りになって距離がわずかに伸びるデメリットもあります。
「多少の距離ロスよりペースの乱れを避けたい」という判断ができるのは、ある程度レース経験を積んでからです。初心者のうちは端の「詰まり・大回り」のリスクを避けるため、まず真ん中を意識しましょう。

コツ: スタート直後は「流される感覚」でOK。自分のペースは1〜2kmで集団が分散してから整えれば十分です。もし周りのペースが速すぎると感じたら、迷わず少し落とす勇気を持つことが後半の走りを守ります。


② 中盤(10〜30km)|消耗を抑えながらリズムを作る

中盤の特徴

スタートの混雑が落ち着き、走力が近いランナーが自然とまとまってくる時間帯です。ペース感覚も安定してきますが、ここでの位置取りの失敗が後半の疲労に直結します。

位置取りのポイント

他のランナーの真後ろに入ってドラフティング(風よけ)を活用するのが中盤の大きなポイントです。
前のランナーの後ろ1〜2m以内を走ると、風の抵抗を減らせて体力の節約になります。特に向かい風が強い日は効果絶大です。

ただし、真後ろにぴったりつきすぎると急ブレーキや転倒時に巻き込まれる危険があります。1m〜ほどの余裕を保ちましょう。

また、中盤は自分より少しだけ速いグループの後ろに入ると、自然に引っ張ってもらえてペースアップにつながることがあります。
逆に遅い集団に埋もれると、無駄に体力を使って抜いてもまた詰まるを繰り返すことになります。

コツ:中盤は「楽に走れる集団を見つけて乗っかる」のが省エネの鉄則。無駄なポジション争いは避けましょう。


③ 終盤(30km以降)|勝負どころで前に出る

終盤の特徴

30kmを超えると、多くのランナーが疲労でペースダウンしはじめます。ここからは「抜かれずに抜く」ポジション感覚が重要になります。

位置取りのポイント

終盤は前半・中盤で温存したエネルギーを使って前のランナーを追い抜いていく場面です。追い抜くときは一気に前に出て、中途半端に横を走らないことが大切です。横でダラダラ並走すると、相手に気力を与えてしまい、追い抜き切れないまま体力を消耗します。

残り5km前後では、コースのどこに人が少ないかを見ながらルートを選ぶ意識が有効です。特に大きな大会では、コースの外側に意外と走りやすい空間があることがあります。

コツ:終盤は「抜くときは迷わず一気に」。並走は体力の無駄遣いです。


④ 広いコース vs 狭いコース|道幅によって変わる戦略

広いコース(公道・大通りなど)

スペースに余裕があるため、自由に立ち位置を選べるのが最大のメリットです。ただし、広いコースは風の影響を受けやすいので、集団をうまく使って風よけを意識しましょう。

また、曲がり角ではインライン(内側)を走るほど距離が短くなります。ただし人が集中しやすいので接触に注意。コーナーが多いコースでは、内側と外側のバランスを考えながら走ることが大切です。

狭いコース(山道・住宅街・折り返しなど)

狭いコースは追い抜きが難しく、前のランナーのペースに引きずられやすくなります。先手を打って、詰まる前に自分のスペースを確保することが重要です。

特に折り返しのある狭いコースでは、折り返し直前に内側へ人が集中して混雑しやすくなります。この場面では大きく分けて2つの位置取りの選択肢があります。
① 折り返し手前から内側をキープする方法
折り返し点の少し手前から内側のライン(コーナーの短い方)を確保しておくと、最短距離で折り返せてスムーズに加速しやすいメリットがあります。
ただし、同じことを考えるランナーが集中しやすく、混雑して急ブレーキを踏まざるを得ないリスクもあるため、周りの状況を早めに読んで動くことが大切です。

② 外側に膨らんで折り返す方法
混雑が激しいと予測できる場合は、あえて外側に膨らんでコーナーを大回りする選択肢も有効です。
距離はわずかに伸びますが、スペースに余裕があるため減速せずに自分のリズムを保ったまま折り返せることが多く、折り返し後に内側へ戻る流れで前のランナーを自然と追い越せる場合もあります。

コツ: 人が少なければ内側の最短ルートを狙い、混雑が見えたら迷わず外側へ。「詰まって止まるくらいなら大回りの方が速い」という場面は意外と多いです。折り返し前の数十メートルで状況を見極める判断力が、狭いコースでのカギになります。


⑤ 上り坂・下り坂|地形に合わせた位置の取り方

上り坂

上り坂では多くのランナーがペースを落とすため、集団が縦長になりやすく詰まりが生じます。特に急勾配の手前では前の人が急ブレーキをかけることがあるので要注意。

坂の入り口では少し外側に膨らんで、前のランナーとの距離を自然に空けると、急なペースダウンに巻き込まれにくくなります。

上りが得意な人は、坂の手前から内側ラインをキープして、坂でペースが落ちた周囲を一気に追い抜くチャンスにもなります。

下り坂

下り坂はポジションによっては危険性があるので注意が必要です。スピードが出すぎたランナーが内側に切り込んできたり、急に止まったりすることがあります。

下りではコースの外側やや広い位置を走ると安全です。体が前に倒れる分、自分もスピードが出やすくなるため、前後の距離を通常より多めに取るよう意識しましょう。

コツ:坂道こそ「前後左右の余白」を意識。流れに任せすぎず、自分のブレーキングゾーンを確保しましょう。


⑥ 集団の中を走るとき vs 周りに人が少ないとき

大きな集団の中を走るとき

集団は風よけや精神的なペースメーカーとして大きな助けになります。ただし集団の真ん中は危険が多いのも事実です。周囲が見えにくく、転倒や急ブレーキへの対応が遅れます。

集団の中ではやや外側・後方寄りのポジションが最も安全で使いやすい位置です。前が見えて、左右に動けるスペースもあります。
集団前方を走りたい場合は、最初からそのポジションを確保しておきましょう。後から前に割り込もうとすると摩擦が生まれます。

周りに人が少ないとき(中盤以降の単独走)

中盤以降に集団から離れて一人になることも多いです。このときはペースが落ちやすいので意識的に今は何キロなのかを確認しながら走ることが重要です。

位置取りという意味では、一人のときはコースのど真ん中を走ると精神的に落ち着くランナーが多いです。
ただし後続ランナーが追い抜く際に邪魔にならないよう、追い抜かれるときは素直に端に寄りましょう。

一人になったときこそ、前方に見えるランナーを「追いかける目標」に設定すると、ペースを維持しやすくなります。

コツ:集団の中は「やや外後方」が黄金ポジション。一人になったら「前のランナーを目標に」してペースを保ちましょう。


よくある質問(Q&A)

Q1. スタートブロックで前の方に並ぶとどんなメリット・デメリットがありますか?

A. メリットは「スタート直後の混雑が少ない」「自分のペースで走り出しやすい」点です。デメリットは「周囲が速いランナーばかりで最初からオーバーペースになりやすい」ことになります。
初心者のうちは自分の実力通りのブロックに正直に並ぶのが一番です。無理に前に並ぶと、序盤で力を使いすぎて後半に大失速するパターンに陥りやすくなります。


Q2. 他のランナーの後ろにつく「ドラフティング」はどのくらい効果があるの?

A. 研究によると、向かい風の条件下では前のランナーの後ろにつくことでエネルギー消費を数〜十数%節約できるとされています。マラソンのような長距離では、この差が終盤の脚の残り具合に大きく影響します。ただし接触リスクがあるため、1〜1.5mの距離感を保つのが基本です。


Q3. 坂道で足を使いすぎないためのコツはありますか?

A. 上り坂では「タイムではなく体感の負荷」を一定に保つことを意識しましょう。平地と同じペースで走ろうとすると必然的にオーバーペースになります。
歩幅を小さくしてピッチを細かくすることで、上り坂でもリズムを崩さず走れます。下り坂は足に衝撃がかかりやすいため、「ブレーキをかけながら体を前に倒す」イメージで走ると膝への負担を軽減できます。


Q4. 大きな集団の中で走るとき、前へ出るタイミングはどう判断すればいい?

A. 集団のペースが自分にとって「少し物足りない」と感じたときが前に出るサインです。ただし序盤・中盤で無理に前に出ると後半にガス欠になるリスクがあります。
前に出るのは30km以降の終盤がベスト。それまでは集団の恩恵(風よけ・ペースメーカー代わり)を最大限に活用しましょう。


Q5. 狭い道でどうしても詰まってしまうとき、どう対処すればいいですか?

A. まず焦らないことが大切です。急いで追い越そうとすると接触や転倒のリスクが高まります。少し体を外側にずらして前のランナーとの距離を確認し、スペースができたタイミングで自然に前へ出るようにしましょう。
狭いコースが続く区間では、体力温存のために「今は詰まっても仕方ない」と割り切ることも立派な判断です。


Q6. 一人になったときにペースが落ちてしまうのを防ぐには?

A. 遠くに見えるランナーを「目標」として設定し、少しずつ距離を縮めることを意識しましょう。また、スマートウォッチやペースアプリを使って数字でペースを確認するのも有効です。
音楽を聴きながら走るランナーも多いですが、歓声や給水所のアナウンスが聞こえるよう音量には注意しましょう。


まとめ

マラソン大会での位置取りは、体力と同じくらい重要な「頭を使う技術」です。場面ごとのポイントをまとめると次のとおりです。

  • スタート:自分の目標タイムに合ったゾーンに正直に並び、最初は流れに乗る
  • 中盤:風よけになる集団を活用し、省エネで走る
  • 終盤:一気に追い抜き、ラストスパートのスペースを確保
  • 広いコース:コーナーの内側と風向きを意識する
  • 狭いコース:詰まる前の早めの判断と割り切りが大切
  • 上り坂:体感負荷を一定に保ち、外側でスペースを確保
  • 下り坂:前後の間隔を広めに取り、衝撃を逃がして走る
  • 集団の中:外後方の黄金ポジションをキープ
  • 一人のとき:前のランナーを目標にしてペースを保つ

初めてのマラソン大会では全部を意識するのは難しいかもしれませんが、一つひとつ経験を積みながら自分なりの走り方を作っていきましょう。ぜひ次の大会で試してみてください!

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