マラソン練習にはEペース(ゆっくり走)やジョグのような「量の練習」と、スピード強化や閾値向上のための“質の高い練習”であるポイント練習があります。
ポイント練習は以下のような効果的なトレーニングを指します。
- インターバル走
- 閾値走(テンポ走)
- レペティション
- ビルドアップ走
- ペース走
これらは身体に負荷がかかる一方、短時間で走力を引き上げる非常に効率の良いトレーニングです。
今回はこの中からインターバル走と閾値走についての説明とメニューの組み立て方、注意点の内容になっております。
🔥 インターバル走(Interval Training)
■ 目的・効果
- VO₂max(最大酸素摂取量)向上
- 心肺機能の強化
- ラストの粘り・スピード持久力UP
- フルマラソンで“30km以降も動く脚”が手に入る
■ やり方の例
(例:400m × 6〜10本 / 100〜200mのつなぎジョグ)
- 400mをキツメのスピードで走る(RPE 8〜9程度)
- つなぎジョグは心拍が落ちすぎない程度にゆっくり
- 回復しきる前に次の疾走へ入るのがポイント
距離別のインターバル例
| レベル | メニュー例 |
|---|---|
| 初心者 | 200m × 6本(つなぎ200m) |
| 中級者 | 400m × 8〜10本 |
| 上級者 | 1000m × 5本 |
■ 注意点
- 疲労がたまっている日は無理に行わない
- 冬場はしっかりアップしないと肉離れのリスク大
- フォームが乱れるほど追い込みすぎない

⚡ 閾値走(テンポ走 / Threshold Run)
■ 閾値走とは?
「乳酸が急増し始めるギリギリの強度で走る練習」
=“キツいけど頑張れば維持できるペース”
フルマラソン最大の武器になる練習と言われるほど効果が高い。
■ 効果
- 乳酸処理能力の向上
- 長時間“余裕を持って”走れるようになる
- マラソンの巡航ペースが楽に感じられる
■ やり方(基本)
例:20分〜30分走(または3〜6kmほど)
- RPE(体感強度)では 7〜8
- 会話はできないが、口数少なく短いフレーズなら話せるレベル
- 苦しいが、最後までペースが落ちないように
■ ペースの目安
- フルマラソンのレースペースより やや速い
- 10kmレースのペースより 少し遅い
■ 注意点
- 最初は飛ばしすぎない
- 暑い日は強度が高くなりすぎるので要注意
- 本数より「一定ペース」を守ることが大事

🏁 ポイント練習の組み立て方(週の流れ)
▼ 初心者〜中級者の基本構成例
- 週1回:ポイント練習(インターバル or 閾値走)
- 週1回:ロング走 or LSD
- その他はEペースジョグで回復
▼ 中級者〜上級者
- 週2回ポイント練習(例:火→閾値、金→インターバル)
- 週末にロング走
- ただし疲労が抜けにくい場合は週1回に調整
🚨 ポイント練習の共通注意点
- ウォームアップ(10〜15分+流し2〜3本)は絶対に省略しない
- 終わったらクールダウンジョグを必ず行う
- ケガの兆候(違和感・張り)がある場合は即中止
- 累積疲労が強い場合は敢えてジョグに変更してOK
- 頻度より「継続」が大事

❓ Q&A:よくある質問
Q1. どの練習から始めればいい?
→ 閾値走(テンポ走)が最も始めやすく効果が出やすいです。
Q2. インターバルは毎週やるべき?
→ 初心者は 2週に1回で十分。
疲労が抜けない場合は頻度を下げてOKです。
Q3. ポイント練習で息が上がりすぎます
→ RPE(主観的運動強度)で7〜8が基本。
会話不能のRPE9〜10は追い込みすぎです。
Q4. ペース管理が難しい
→ 最初は距離よりも「時間設定(20分)」のテンポ走にしてみてください。
Q5. 雨の日はどうする?
→ ツルツル路面や強風の日は無理せずEペースに変更してOK。
📝 まとめ:ポイント練習は“短時間で走力が伸びる”魔法のトレーニング
ポイント練習は負荷が高いですが、正しい方法で取り組むと確実に走力が伸びます。
特にインターバル走と閾値走は、スピード持久力と巡航力を同時に伸ばせる“最強の効率練習”といえるでしょう。
- インターバル走 → 心肺機能・スピード持久力UP
- 閾値走 → 乳酸処理能力・マラソンの余裕度UP
- 週1回でも十分効果が出る
- 何より大切なのは「継続できる負荷で積み重ねること」
疲労管理をしながら、あなたの目標に合わせて取り入れてみてください。
⭐ 次回予告|さらに走力が伸びる“3つのポイント練習”を解説します
次回の記事では、今回触れられなかった次の3つのポイント練習を詳しく紹介します。
- レペティション走:フォーム改善 × 最大スピード向上の短距離高強度トレーニング
- ビルドアップ走:後半に強くなるペースコントロールの定番メニュー
- ペース走:レース当日の「本番ペース」を身体に染み込ませる実戦的な練習
これらはインターバル・閾値走と並んでマラソンのタイム短縮に大きく貢献する重要要素です。
ポイント練習シリーズとして継続して読むことで、練習の理解が深まりあなたの走力向上に直結する内容になるでしょう。

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