マラソンのタイムを縮めたい、完走を目指したい…そんなランナーにとって欠かせないのが「ペース走」です。
ペース走は一定のペースを保って走る練習のことになります。スピード練習やLSDのような距離走に比べると地味に見えますが、実はマラソンの成績を左右する重要なトレーニングです。
この記事では、ペース走の基本的なやり方からペース設定の考え方、注意点、そしてテンポ走やビルドアップ走といった似たタイプの練習との違いまで、まるごと解説します。ぜひ最後までお読みください。
ペース走とは?
ペース走とは、あらかじめ決めた一定のペースで一定の距離を走り続けるトレーニングです。レースでのペース感覚を磨くことや持久力を養うこと、そして体のエネルギー効率を高めることが主な目的です。
特にマラソンでは「自分のペースを知ること」が完走や記録更新の鍵になります。ペース走を繰り返すことで体内時計とも言えるペース感覚が養われ、レース本番でのオーバーペースや後半の失速を防ぐことができます。
ペース走で得られる主な効果
ペース走を継続的に行うことで、以下のような効果が期待できます。
- ペース感覚の習得: 時計を見なくても狙ったタイムで走れるようになる
- 有酸素能力の向上: 心肺機能と筋持久力が同時に鍛えられる
- ランニングエコノミーの改善: 同じペースでも少ないエネルギーで走れるようになる
- メンタルの強化: 「このペースで走り切れた」という自信がレースの支えになる
- 脂肪燃焼効率の向上: 中強度で長時間走ることで脂肪をエネルギーに変える力が高まる
ペース走のやり方と似たタイプの練習
ペース走にはいくつかのバリエーションがあります。それぞれの特徴を理解して、目的に合った練習を取り入れましょう。
🏃 1. 基本のペース走(レースペース走)
マラソン本番で目標とするペースで走る、最もスタンダードなペース走です。4時間切りを目指すなら5分41秒/km、サブ3.5なら4分59秒/kmといった目標ペースを1kmごとにラップを確認しながら走ります。
【ポイント】
- まずは5kmを目指すところから始め、徐々に10km、15kmと距離を延ばす
- 最初の最初の1〜2kmはウォーミングアップとして少しゆっくり入る
- GPSウォッチを活用し、1kmごとのラップをチェックする
- コースはなるべくフラットな場所を選ぶのが理想的
🔥 2. テンポ走(閾値走 / LT走)
乳酸性閾値(LT)付近のペースで行う強度の高い練習です。「きついけれどなんとか維持できる」ペースが目安。乳酸が急激にたまり始める境界を引き上げることで、より速いペースを長く維持できるようになります。
【ポイント】
- 距離は6〜10kmが一般的(約20〜40分間)
- レースペースより1kmあたり10〜20秒速いイメージ
- 心拍数は最大心拍数の85〜90%が目安
- 週に1回、ポイント練習として取り入れるのが効果的
🚀 3. ビルドアップ走
スタートはゴールペースよりも遅いペースで入り、徐々にペースを上げていく練習です。後半にペースを上げる「ネガティブスプリット」の感覚が身につき、レース後半の粘り強さにつながります。
【ポイント】
- 例: 12kmを4km+4km+4kmに分け、各区間で10〜20秒/kmずつペースアップ
- 前半は楽に感じるくらいで組み立てる
- レース本番での後半型のレース展開をシミュレーションできる
- ペース走に慣れてきた中級者以上におすすめ
⏱️ 4. ネガティブスプリット走
前半を控えめに走り、後半を前半よりも速く走る練習です。マラソンの理想的なレース展開とされるネガティブスプリットを普段の練習で体に覚え込ませます。ペース判断力と後半の粘りが同時に磨かれます。
【ポイント】
- 前半は目標ペースより5〜10秒/km遅く入る
- 後半は目標ペース、もしくはそれより5〜10秒速く
- 総走行距離は15〜20kmで行うとレースへの自信につながる
- 最初の我慢が育つため、オーバーペース防止にも最適
🚶 5. LSD(ロング・スロー・ディスタンス)
ペース走とは対照的に、レースペースよりもかなり遅いペースで長距離を走る練習です。脂肪をエネルギーとして使う力を養い、持久力の土台を作る基本練習です。ペース走と組み合わせると効果的です。
【ポイント】
- ペースはレースペースより1kmあたり30〜60秒遅く
- 距離は20〜30km、時間は90分〜3時間が目安
- 会話ができるくらいの余裕あるペースで行う
- マラソンの耐久力の土台作りに不可欠なメニュー
ペース設定の目安
ペース設定は、マラソンの目標タイムから逆算するのが基本です。たとえばサブ4(4時間切り)なら5分41秒/km、サブ3.5なら4分59秒/kmとなります。ただし、以下のポイントも考慮して調整しましょう。
- 気温が高い日は10〜20秒/km遅く設定する
- 起伏のあるコースでは平均ペースよりも「努力度」を一定に保つ意識で
- 直近の10kmやハーフマラソンの記録から推定する方法も有効
- 練習では目標ペース±5秒/kmの範囲で走れれば十分な精度
ペース走を行う際の注意点
【注意点1】ウォーミングアップとクールダウンを行う
いきなり目標ペースで走り出すと、筋肉や関節への負担が大きくなります。1〜2kmのジョグとストレッチで体を温めてから本練習に入りましょう、練習後のクールダウンジョグも忘れずに。
【注意点2】最初から飛ばしすぎない
ペース走でよくある失敗が「前半が速すぎて後半失速」というパターンです。特に最初の1〜2kmは目標ペースより5〜10秒遅く入るぐらいがちょうどいいでしょう。
【注意点3】体調が悪い日は無理しない
睡眠不足や疲労が残っている日に無理してペース走を行うとケガのリスクが高まります。ペースを落としたジョグに切り替える勇気も大切です。
【注意点4】水分補給とエネルギー補給を計画する
15km以上のペース走では、レース同様に給水ポイントを設定しましょう。5〜7kmごとに水分を取る習慣をつけておくと、本番でもスムーズに給水できます。
【注意点5】同じペースばかりにしない
毎回同じペースでばかり走ると、体がその刺激に慣れて成長が停滞してしまいます。テンポ走、ビルドアップ走、LSDなどをバランスよく組み合わせ、多角的に能力を伸ばしましょう。
よくある質問(Q&A)
Q: ペース走は週に何回やればいいですか?
A: 一般的には週に1〜2回が目安です。毎日行う必要はなく、ジョグやイージーランなどの軽い練習と組み合わせることで、疲労回復とパフォーマンス向上のバランスが取れます。レース前は頻度を下げて調整しましょう。
Q: 初心者でもペース走はできますか?
A: はい、初心者でも可能です。まずは「会話ができる程度」の楽なペースから始めて、一定のリズムで走る感覚を身につけましょう。距離は3〜5kmから始めて、徐々に伸ばしていくのがおすすめです。
Q: ペース走とテンポ走は同じものですか?
A: 厳密には異なります。ペース走は「一定のペースで走る練習」の総称で、テンポ走はその中でも「きついけれどなんとか維持できる練習」を指します。目的や強度が異なるため、使い分けることが大切です。
Q: ペース走の適切な距離はどれくらいですか?
A: マラソントレーニングの場合、10〜20kmが一般的です。ただし、初心者は3〜5kmから始めるのが安全です。レースの2〜3ヶ月前から徐々に距離を延ばし、身体の反応を見ながら調整していきましょう。
Q: ペース走のときに心拍数はどれくらいを目安にすればいいですか?
A: レースペースでのペース走なら最大心拍数の75〜85%が目安です。テンポ走の場合は85〜90%程度。GPSウォッチや心拍数モニターを活用すると、客観的にペースを管理できます。
Q: 雨の日や暴風の日でもペース走をやるべきですか?
A: 小雨程度なら問題ありませんが、強風や豪雨、猛暑日は無理せずトレッドミルや屋内練習に切り替えましょう。ケガのリスクが高まるため、安全を優先してください。
まとめ
ペース走はマラソントレーニングの中核をなす練習です。基本のレースペース走を軸にテンポ走で閾値を引き上げ、ビルドアップ走でレース展開力を磨き、LSDで持久力の土台を作ること。このバランスがマラソンの成績を大きく左右します。
まずは自分の目標タイムからペースを計算し、次の練習でペース走を取り入れてみましょう。地道な積み重ねが、必ずレース本番での自信につながります。
本記事で紹介するトレーニング方法は一般的な情報提供を目的としています。個人差があるため、すべての方に同じ効果が保証されるものではありません。


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